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ももも。のおスイス暮らし

なれそめ・出会い編



      ◇なれそめ・出会い編◇






      2002年7月22日、早朝のチューリッヒ空港に降り立った。
      初めてのスイス、初めてのヨーロッパ大陸。

      大きなバックパックと6ヶ月のオープンチケット、そしてワクワクした気持ち、
      ニュージーランド時代の友達を訪ねてのヨーロッパ放浪の旅である。



      まずお世話になったのは、オークランドの語学学校のクラスメイトだったリチャード。
      リチャードの所には10日間程おじゃまし、スイスのいろいろな所に連れて行ってもらった。





      スイス3日め、7月24日。

      いつものように、私のために昼過ぎに退社し帰ってきたリチャードが言った。


      「今日はスイスの北の方に行こう!」

      「オーケー」

      「あっ、そうだ、友達を誘ったけど、構わないよね?」

      「ノー・プロブレム」


      リチャードの友達は、同じ会社に勤めていて、尚且つ同じ通りに住む人だという。





      約束の時間にリチャードの友達がやってきた。


      彼の名前はアレックス。

      「はじめまして。」と彼と握手をした。



      リチャードは7月の頭にこの家に越してきたばかりなので、アレックスに家の中を隅々案内した。
      私もふたりの後ろをちょこちょこ付いて行った。




      その後、ラインの滝に向かって出発した。


      アレックスといろいろ話していると、やたら日本のことを知っている。
      なんでか聞くと、アメリカに留学中、日本人の友達がたくさんでき、
      5年近く前に彼らを訪ねて、日本に行ったことがあるとのこと。

      日本のことを知っているからという理由だけじゃなく、
      彼とはなんかとてもしゃべりやすかった。



      ラインの滝の後、シャフハウゼンの街を散策、
      そしてPradiesという訳すとパラダイスという意味の町のライン川沿いでご飯を食べた。
      その後、地元に帰ってきて、パブで軽く一杯飲んで、
      アレックスと連絡先を交換して、その日はお別れした。



      私はかなりアレックスにいい印象を持った。
      男の人という意識は全くなく、友達として。

      だから、リチャードに「またアレックスに会いたいなー」とぽろっと言った。





      7月30日、私がリチャードの所を発つ前日、
      東スイスに住むリチャードのご両親の家に招かれた。

      私のあの一言で、リチャードがアレックスを呼び、彼も同席した。


      リチャードのお父さんは英語をしゃべるが、私にはわかりづらい英語だった。
      お母さんは英語は全くしゃべれなかった。

      私がリチャードのご両親に何か説明しようと思って、うまく言い切れないときや
      彼らの言っていることがわからないとき、私はなぜかアレックスに助けを求めた。

      今思えば、アレックスは友達の友達、リチャードは私の友達、
      助けを求めるのは、リチャードの方にするのが普通かもしれない。
      でも、なんだかアレックスの方がしやすかったのだ。



      その夜、リチャードの家で夜遅くまで3人で話をした。


      いつかまた日本に行きたいと言ったアレックスに、

      「日本に来る時は連絡してね。」

      と私は言った。



      親しみをこめて、ハグをして、お別れをした。


      スイスに新しい友達ができた―― そう思った。





      そして次の日、私はリチャードに見送られ、リチャードとアレックスの住む街を発ち、
      次の友達が待つバーゼルに向かったのだった。






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